手術費のはなし
手術をしなければいけないことが分かったら、そこからは保険にはいっていたかどうかの確認と、各方面への電話、動けない身体とは裏腹に頭はフル回転させられていた。
この時点で確実にわかっていたことは”結構最悪”だということだけ。
それに上乗せする形でリアルなお金の話がぼくに告げられた。
日本の病院と違い、インドネシアの場合、手術費が確保できていないと手術は始まらず、しかしそこにいるだけで入院費はどんどんかさむというのだ。その額はざっくりと1日Rp.5,000,000(4万円)。何もしなくてもそこで寝ているだけで4万円が溶けてなくなっていく。超高級ホテルでもそんなにしない。国内最高峰のムリアに泊まれる。
保険も入った記憶がなく、このままいけば全額実費負担。
背中の骨が折れるだけでこんなことになるのかと酷く落ち込んだ…。
そんな絶望の中、更なる追い打ちをかけるように「手術費の見積もり」というものが運ばれてきた。
「こちら手術費とその後の入院費の見積もりですー。」
「あ、はい。」
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ゼロが多すぎてマジでよくわからなかった。
いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうまん、ひゃくま……せんま……おく………よんおくなな……だいたいごおく。
ごおく。
五億。
Rp.500,000,000。
インドネシアルピアは後ろのゼロを2つ消すと大体日本円と同じくらいになって見やすいと言われているが、億単位になってしまうと見やすくもなんともない。むしろ見にくい。わかりにくい。ただ指が邪魔なだけ。
っていうかそんな大金があるわけない。
つい昨日まで1万ルピア(80円)のナシゴレンをうまいって言ってたやつに5億ルピアなんてあるわけがない。
”っていうか5億ルピアっていくらだよ。億といえばドリームジャンボだろうが。ジャンボといえばビート内藤さんだろうが。”
そんな風に僕はただ大混乱した。
海外旅行保険のはなし
混乱の中で、ただ1つだけ、いや2つ、いや3つ、僕に射した光があった。
1つはカイリがいた。1人だったらマジで大変、コンタクトレンズ入れるケースすらない。日本の編集部とのやり取り、病院のやり取りはほぼ全てやってくれた。
2つめは編集部がいた。やべーやべーなってる場所とは少し離れて冷静な味方がいてくれることは心強かった。というか最終的に編集部がいなかったら僕は今頃、大工の親父に弟子入りしていただろう。
そして、最後はクレジットカードの付帯保険というものがあった。僕が日本からバリ島までの航空券を購入した際に使用したクレジットカードが「楽天カード」だったので、現地に到着してから3か月は海外旅行保険が付いていたようだ。額はMAX200万円。しかも一度こちらで立て替えるといったこともなく、めちゃくちゃスムーズ。これは奇跡。神。
僕が運ばれたのはBIMCという有名な病院で、(これは後からわかったことだが)どうやらここは「バリ島内でも屈指のクオリティ&値段の高さ」ということがわかり、実費確定の僕は少しでも安いデンパサールエリアにあるスルヤフサダ病院に移った。後に動画でアップする予定だが、綺麗な病院だった。転院の手続きはジャカルタにあるという保険会社さんと病院が進めてくれていた。
僕がやらなければいけなかったのは持っている全てのクレジットカードの限度額の確認。転院しても1日数万円はかかってしまう。実費分をすぐにでも払わないと手術の手続きに進めないことに変わりはないのだ。
そのあとの記憶は正直あまりない。クレジットカードを家から持ってきてもらい、デビットカードも合わせてなんとかお金のことはクリアになった。あとは手術うんぬんだけ。転院後の病院にも日本人スタッフさんがいたし、部屋もめちゃくちゃ綺麗だったから特に「お医者さんの腕が…」みたいなことは気にならなかった。
お金の確保さえできれば手術まではかなりスピーディーだった。「手術、いつしたいですか?最短で今日の夜ですね。」くらい早かった。記憶に残ってるのは術後に気づいたら全裸だったことと挿管したので喉がガサガサだったことくらい。
チームワルンマランが仕事終わりに飯持ってきた。 pic.twitter.com/9qWoX2Vjpu
— ホリ-HORI✴バリ島旅行のみかた✴ (@HORI_BALI) 2018年3月24日
あとはワルンマランのスタッフが仕事終わりにお見舞いに来てくれたこと。1人初対面の人がいて笑った。
あ、モスクの偉い人たちも。前にここのモスクが経営している孤児達に募金したことがある。といってもかなり前なので、宗教的に偉い人はとても義理堅いということを学んだ。でも彼らがお見舞いに持ってきてくれたパダン料理は辛くて全然食べれなかった。
カーチャーターで有名なドイちゃんがおいてったよ。 pic.twitter.com/AfvlyZzIni
— ホリ-HORI✴バリ島旅行のみかた✴ (@HORI_BALI) 2018年3月28日
それに昔から友達のヤヤンにバリ倶楽部の喜古さん一家、SNSで話題のカーチャーターガイドのドイちゃんなど多くの方々がお見舞いに来てくれた。
手術後は傷も塞がりきらないまま、入院費のこともあるので、すぐに退院。今はご覧の通り普通に歩ける。退院後は経過観察で2回病院に行ったが、30秒診てもらうだけで1万円くらいするので「もう来たくない」といったら「痛くなったらおいで」という流れになった。もちろん痛くなってないので行ってない。
ここが噂の9と3/4号室か…。#ハリーポッター pic.twitter.com/s5zApbY8Ki
— カイリ(バリ島旅行のみかた) (@KAIRI_BALI) 2018年4月2日
そんな感じで僕が今回の事故でかかった費用をざっとまとめてみたらこんな感じだ。
ここからクレジットカードの海外旅行保険が適用され、自腹分は約170万円はということになった。
海外旅行保険、ホント大事です。
クレカ付帯の保険で今回カバー出来たみたいですが、クレカ付帯は利用付帯と自動付帯の二種類があります。
楽天カードは、利用付帯。航空券をカード購入していたから、保険適用。
そしてカード付帯補償額はそんなに多くないので、別に海外旅行保険に入る事はお勧めします。
私もスパでスクラブに被れて身体中に発疹が出て、BIMCに行きました。その時、保険に入っていたので書類一枚書くだけでキャッシュレスで治療を受ける事が出来ました。
ホリさんも強く言ってますが、海外旅行保険は入るべきだと思います。
今更ですが…。
コロナが本格的になる直前の2020年2月にバリ島旅行に行きました。夫婦と、当時高1、中2の4人で。
すると上の子が現地で酷い腹痛、嘔吐。早朝タクシーで向かったのがBIMC病院。全く英語を喋れないのに、常駐しているはずの日本語対応をしてくれるスタッフがおらず…。
受付の人は日本語の問診票を渡してくれましたがGoogle翻訳を駆使してなんとかドクターに症状を伝えました。
「点滴をしましょう」とドクターに言われ、点滴が終わったら帰れるのかと思いきや「半日の入院」を言い渡されました。
早朝に病院に入り、出られたのは16時頃。
行く前にこのブログを読んでいたので保険に入っており、自己負担ゼロで済みました。多分実費だと8万くらいの請求だったと思います。普段から海外旅行の際には保険に入っていますが、本当に保険の大切さを実感しました。