バリ島文化

バリ島で「サーフィン合宿(7泊9日)」したら、航空券とホテルも含めて10万円ぐらいで済んだ。(ゲストライターシガ)

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結論!7日間でサーフィンはどこまで上達できるのか?

結論から言おう。ここまで読んでくれた方には大変申し訳ないのだが、ぼくの「湘南デビュー」はしょっぱい結果となった。

 

しかし、サーフィン合宿自体はしっぱいではない。それ以上に大切なことが学べたと思うからだ。それはなぜか。

蜀咏悄10

サーフィン合宿1〜3日目

スーーーーーーっと、波の上を滑っていく感覚に顔が思わずほころんだ。

岸に乗り上げるまでの、ほんの数秒の間なのだが、ボードが波をやわらかく割いていくシャリシャワ感、全身の力を抜いて体重を波に委ねられるリラックス感、潮でぬれた身体を向かい風がさらう爽快感。そのすべてが心地いい。

写真 2016-06-27 17 05 35

 

 

初日は、陸上でボードに寝そべった状態から立ち上がるまでの「体の動かしかた」を教えてもらう。10分後には、さっそく海へ。インサイドの白い波(スープ)が押し寄せたところで、後ろからボードを押してくれる。それによりボディボード状態で波に乗って、ボードが滑り出したところで立ち上がる。

そこまではスムーズだった。はじめの1回目こそドボンしたものの、2回目には立ち上がることに成功、その後も成功率80%ぐらいでノリノリだった。波もいろいろ。ボディーボード状態で波に乗ったら立ち上がると書いたが、その波に乗る感覚やタイミングは、波によって本当にまちまちだ。それが分かったときには、また顔がほころんだ。

2日目には、どんな波が来ても立ち上がれずにドボンすることは、ほぼ皆無。ぼくは自信に満ちていた。このときは、まだ……。

蜀咏悄11

こうして写真で見ると、たくさんの人がいるようにも思えるが、バリのクタビーチは5km以上もあり、上級者に迷惑をかけたり、初心者同士でぶつかったりということは、ほぼない。

3日目には、あくまでインサイドではあるが、後ろから押してもらうこともなく、パドリングで自分で助走をつけて立ち上がる。補助輪がなくなる感じだ。

 

サーフィン合宿4〜7日目

4日目からインサイドではなく、アウトサイドへ出る。「沖へ出る」という意味だが、そのためには、押し寄せる大波を越えていかねばならない。それはつまり、沖へ出たあとは、その大波に乗るという意味でもある。

沖へ出るための大波の避けかたを教えてもらい、さっそく実践。何度も波に押し戻されながら、なんとか沖に出たところでボードの上に座る。その瞬間の爽快感といったら!

波待ち。ぼくは、波待ちに憧れていたのかもしれない。波のリズムでゆられていると海と一緒に呼吸しているようでリラックスできるし、海の上での日光浴は暑さも汗も水に流せる気持ちよさがある。

いつまでも浮かんでいたいところだが、そうも言っていられない。大きな波がやって来たら、ボードをクルッと180°回転してパドリング開始。漕ぐ!漕ぐ!全力で漕ぐ!その助走に波が追いついて、ボードが滑り出したら立ち上がる!テイクオフ!

 

 

……と言いたいところなのだが、パドリング。これがぼくにとって鬼門となった。

ミカタフレンズ

 

「先天性」と言いたくなるほど不器用な腕の動き(鏡で自分のパドリングを見て驚いた)かつ、力不足で全然前に進まない。そこで、最後の最後で後ろからインストラクターが押してもらって、ようやくボードが滑り出す。補助輪はまだ、とれていなかったのだ。

5日目になっても、6日目になっても、7日目の最終日となっても。パドリングは改善しなかった。何度も波に追い越され、何度も波にのみ込まれた。

しかし、これを読んでいるみなさんは、安心してほしい。

5日目のことであるが、その日、ぼくの友人がバリにやってきた。彼もサーフィンは初体験。一緒に練習した友人は、1日のレッスン(午前と午後の2回で9,000円)で、パドリングでつまづくこともなく、その日のうちにアウトサイドへ出て、沖から波に乗れるようになっていた。僕の5日間の(むしろ7日間の)成果を1日で抜き去っていったわけだが、サーフィンの上達は本当に人それぞれなのだ。

悔しくない、といったら嘘になるが、ぼくはそれを素直に受け入れることができた。こういうとき、ぼくはいつも自分に失望して嫉妬して落ち込むことが多かった。でもサーフィンは、いやサーフィンが、人と比べる必要なんてないのだと教えてくれた。

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サーフィンは、インサイドで波乗りするだけでも、アウトサイドで波待ちするだけでも最高に気持ちいい。そして何より、サーフィンはうまくなっていく過程こそが一番楽しいからだ。美味しいご飯に出会うとゆっくり噛みしめたくなるように、サーフィンの上達を一歩ずつ味わえばいいのだ。

サーフィンというのは、自分はこうでありたいと望む理想像に近づいていくこと。波の一本一本から、人は海や自分自身についての教訓を学んでいく。それは結局、いかに自然に溶け込み、一体化できるかが、波をメイクするということにつながっていくわけだ。

これは、スティーブ・ペズマンによる有名なコラムの一節。サーフィンは人と競争するスポーツではないのだ。「旅」が決して誰かと競争したり比べたりするものでないように。

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この旅を終えて、湘南の海に、サーファーとして、はじめて立った。

バリで7日間合宿して覚えたテイクオフ……何度もドボンしたり、相変わらずパドリング不足で波に追い越されたりしたが、それでも、2回、乗れたのだ。

たったの2回。だけど、自分の力でパドリングして波に乗り、立ち上がることができた。バリでは一度も成功しなかったので、それがはじめてのテイクオフ。ちょっと冴えない湘南デビューだったけれど、サーファーとしての道のりははじまったばかり。誰とも比べることなく、人生とともに、ゆっくりと成長していきたい。

結論、「バリのり」のような「サーフィン合宿」をしても、湘南デビューはかなりほろ苦い。

サーフィンは、ぼくが思っていたよりはるかに奥深く、難しい。さながら日本の交通事情のように狭くて細い波の道を、針の目を縫うように横乗りしていく湘南のサーファーたちを見てそう思った。

 

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