インドネシアは多言語国家
まずは大枠から説明していきましょう。
バリ島があるのはインドネシアという国ですが、実はこの国では538以上の言語が日常的に使われていると言われています。(Wikipedia参照)
想像できますでしょうか?単純に考えると「ありがとう」という感謝を伝える言葉が500個以上、同国内にあるというイメージです。その上に、国としての言語(公用語)としてインドネシア語があるんです。なので、インドネシア人は「地方言語」と「公用語」の2つをマスターしている人が多くを占めます。バリ人であればバリ語とインドネシア語のバイリンガルですね。
「地方言語と公用語」と聞くと、日本語にある「方言と標準語」の図式を思い浮かべがちですが、その2グループはかなり質が異なります。日本語の方言の場合、語尾やアクセントが変化する場合が多く、標準語が話せるのであれば、ある程度意思の疎通が可能ですよね。(多数を標準とするのはいけすかないですが、便宜上。)
しかしながら、インドネシアでは公用語のインドネシア語が話せても、地方言語についてはほぼ100%理解ができません。
あ、沖縄の方言を思い浮かべてもらうとわかりやすいかもしれません。
現在の沖縄は1429年に琉球王国が建国されとして、栄え、のちに1609年に薩摩藩の支配下に入り、標準語を取り入れたという経緯がありますが、同様にインドネシアも島をベースとした共同体で独自の言語を保持していたものを、オランダ植民地からの独立運動の際に、唯一の言語としてのインドネシア語が掲げられたという歴史的背景があったりします。
まあ、要は、ここ、インドネシアではインドネシア語と500を超える各地方言語があり、それを統一する形でインドネシア語がありますよということです。
ここでいう各地方にはもちろんバリ島も含まれています。つまり、バリ語とインドネシア語は全く別のものなんです!
「じゃあ、観光客が覚えるのはバリ語のほうがいい?!」と思いきや、バリ島にはジャワ島やその他の島から出稼ぎに来ている人がたくさんいるため、もしバリ語を覚えてしまうと、そういった方たちには理解ができない音の集合体となってしまいます。
その点、インドネシア語であれば、バリ人にもジャワ人にもスマトラ人にも理解が可能な言語ですので、もし「現地語で挨拶がしたい!」ということであれば、インドネシア語を覚えてくるべきです。
蛇足ではありますが、なぜか西洋の観光客の方はバリ語の「スクスマ(=ありがとう)」を覚え、使う人がちらほらいますが、ジャワから来た人たちからするとちょっぴり複雑な気持ちになってしまっています。
こちらはバリ語が記載されている商品。バリ語はアルファベットではありません。
バリ島で英語はどの程度通じるの?
実際に読者様からのメッセージで多くいただくことが多いこの質問。答えは、ほぼ通じるといったところでしょうか。
というのもバリ島は世界でも有数の観光の島、リゾート地ですので、毎年世界中から観光客が集まります。なので、観光客がよく利用する場所については英語が通じると考えてもらっていいかと思います。
観光客がよく利用する場所とはクタ、レギャン、スミニャック、クロボカン、チャングー、ジンバラン、ヌサドゥア、サヌール、ウブドの一部といったエリアで、かつ、レストラン、ホテル、スパ、各アクティビティ系のことを指します。
またローカルなワルンでも、上記のエリアにある場合は英語も理解してくれる人がいると思いますので、ある程度は英語で何とかなってしまいます。
一部通じないとすれば、それは完全に田舎にいるおじいちゃんやおばあちゃん、彼らと話がしたい場合はインドネシア語を覚える必要があります。まあ、そんな機会はまあないと思いますので、英語が話せればバリ島において言葉の面で苦労することは少ないかと思います。
しかしながら、インドネシア語も英語と同じアルファベットを使うため、インドネシアン英語は、独特のアクセントがある場合があります。すごく綺麗な英語を話す人は、、、、高級ホテルとかにはいるんでしょうね、きっと。
もしバリ島で自分の英語が通じない場合は「R」を巻きながら「る」と言ってみるといいかもしれません!waterは「ゥオラ」でもなければ「ウォーター」でもなしに、「ワーテル」ってっぽく言えば通じることがあります。笑 インドネシア語はほぼローマ字読みなのです!
バリ島で日本語は通じる?!
では日本語は通じるのか?という問題にはいってみましょう。これもまた難しい問題で、日本語だけで過ごそうと思えば過ごせます。
よく「日本語通じるよ!」「日本語話せる人多いね!」「バリ島は日本語だけでいけた!」という話を耳にしますが、実際にバリ島にいるインドネシア人のうち日本語で意思疎通できる人は、そこまで多くはないと僕は思います。
ではなぜ、観光客からこのような発言がでてくるのか。
それは単純に、「日本語が話せる人が話しかけてきているから」です。バリ島で日本語が話せる人のほとんどは仕事のために日本語を勉強した人で、日本人が街中を歩くと、お土産屋さんなり、ガイドなりの営業をしてくるので、「日本語が通じる」と感じるだけで、こちらから無作為に日本語で話しかけた場合は、日本語は通じません。
試しに街スパの店員さんに日本語で話しかけてみてください。「あぱぁ?!」と言われて2秒で会話が終わるはずです。
これだけ日本語は通じないと書いておきながらいうのもあれですが、日本語だけで旅行することも可能です。そりゃそうですよ、渡バリ者数ランキングをみるとオーストラリア、中国の次に日本人がくるんですもん、大事なお客さんです。
そういう旅をする場合、日本の旅行代理店を使い、なるべく有名で大きなホテルに泊まり、日本語が話せるガイド付きのカーチャーターで毎日移動をすれば快適なバリ島旅行ができます。
いや、何も一部の富裕層向けに言っているわけではなく、実際に日本人観光客の半数以上はそのような形でバリ島を旅行しているのではないしょうか。最近はインターネットを駆使し、自分でどんどん行く人も増えているみたいではありますが。
稀に、日本語ができるインドネシア人は一番信用ならないという人もいますが、随分ざっくりとした価値判断だなと思って僕はみています。この問題は中々危ない橋を渡る事になりそうなので、ここらへんで切り上げておきましょう。