グリンシンとは?
グリンシンはバリの有名な織物であるイカットの一種。トゥガナン村というバリ東部にある村で織られており、バリの織物の中でもとても高価なものです。
グリンシンはダブルイカットとも言われています。そもそもイカットは縦糸か横糸を先に染めて、その色糸で模様を織り上げるという技法ですが、ダブルイカットであるグリンシンは縦糸も横糸も先染めをして、その両方を使って模様を作り出します。
糸の色から細かい模様を作り出すため、その技法はとても複雑で、時間も労力もたっぷりと必要になります。
実は先染めした縦糸と横糸の両方から模様を作り出すという技法は、世界の中でも日本とインド、そしてこのトゥガナン村にしか存在していません。日本では「絣」と呼ばれる技法が同様のものになります。
また、グリンシンという名前の意味は、「グリン」は「病気」、「シン」は「無い」。つまり「病気を除ける魔除け」という宗教的な意味合いも含まれた織物で、バリ住民にとっては神聖なものとして扱われている織物です。
グリンシンが高価な理由は、その技法だけではなく、神聖な存在であることにも由来します。そのため、何十年も前のアンティーク品であれば家宝として扱われ、値段をつけることができないほどだとも言われているのです。